morの解析ブログ

解析疫学、リスクにまつわるメモや計算

「推定」のまわりをさぐる.教科書では「解析はMHにより行う、因子が多ければ重回帰を用いる」という風で詳しい例は少ない.独自(のつもり)な思いつきで具体に試行.
 数理を用いるべきアセスメントにも切り込む.

汚染対策、その効果の評価.RA_9

(閉鎖されたブログの記事を再現する が、現在の考えに沿って記載する)
■ 安全対策に当たってどうしてもほしいデータは、現実の処理条件に近いハザードの動態であろう.実験・観察結果といってもよい.疫学でいえば、後ろ向き研究であるから、みかけ(一般に、バイアスとか、交絡因子)に注意しなければならない.影響する因子が、望むかどうかに関わらず、存在する としておかねばならないのだが、目につく報告のほとんどは、結果の羅列に終わっていてなんだかわからないものになっている.測定もしないポイントを原因としてしまうなどは、因果関係の推論どころか、でっち上げのテイ.
 観察したところで、周辺の状況がよくわからないと吟味に難儀する.「条件」として記載されないのは、条件として意識しなかったためであって、疫学センスの欠如.
■ WHOリスクアセスメントを詳細にみれば、どうやら、工程の条件によっても左右される結果が出ている、と気づけるはずである.EUあたりのリスクアセスもかなりに工程を意識してはいる.工程の条件がわからなければ、いくら結果が”らしく”ても、対策の方針は、おのずと偏る.
 その例が、次のものである.「汚染が陰性または陽性のブロイラー群を別々に食鳥処理、精肉、および加工する logistic slaughter方式は、公衆衛生リスク低減にほとんど効果がない。」ことをScientific Opinion on Campylobacter in broiler meat production: control options and performance objectives and/or targets at different stages of the food chain Published: 07 April 2011, Adopted: 10 March 2011 が述べていると食品安全情報(微生物)No. 8 / 2011(2011.04.20に記されている.国内では「食鳥処理場での汚染・非汚染鶏群の区分処理を行った上で農場汚染率を低減させた 場合が、感染者数低減に対して最も大きな効果を持つことも示された。 」微生物・ウイルス評価書鶏肉中のカンピロバクター ・ジェジュニ/コリ2009年6月食品安全委員会 としたままである.
 菌なんか最初からなければいいんだ、といわんばかりの結論では、(ある種楽かもしれないが、)foodchain各段階の役割も吹き飛んでしまう.
■ 固定した観念に直感的違和感を抱いたら、疫学やモデリングをみてみたい. 




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