morの解析ブログ

解析疫学、リスクにまつわるメモや計算

「推定」のまわりをさぐる.教科書では「解析はMHにより行う、因子が多ければ重回帰を用いる」という風で詳しい例は少ない.独自(のつもり)な思いつきで具体に試行.
 数理を用いるべきアセスメントにも切り込む.

[解説] 2 オッズ比の組成、logistic回帰上の意味

□ オッズ比ORは、暴露群のオッズを非暴露群のオッズで除した数であった.
□ ORの性質を調べてみる.
       
  表3 ある因子の暴露非暴露による結果集計表(マスターテーブル)部分
       因子A            因子B       ・・・
      暴露群 非暴露群   暴露群 非暴露群   ・・・
  発症   a              b      α    β     ・・・
  健康           c              d      γ    δ     ・・・


 表3から、因子AについてのORは、
           OR = ad/bc 


 となる.因子ごとにORが計算される.
□ ORの変化
 同一事例を検討するとき、ORでは、
  ・暴露群の(人)数値 a+c は、因子への曝露によって異なってくる.
   統計的誤差と因子の危険度、みかけの効果が及ぼされるときである.
 一方、
  ・発症者数 a,b は、症例定義によって異なってくる.
 症例定義のまな板に載るのは、真の患者(未確定の因子による発症者)、偶然な同一症例の患者、思い違いの申し出者などである.


□ 同一症例定義のもとでのORの変化(微分風)
 健康であるはずの者が因子Aによって発症したとき、上の人数関係からはbが減少してaが増加する.さらにもし、各因子において暴露率が一定ならば、cは減少しdは増加する.したがって同一曝露OR ad/bc において分子は増し、(暴露率が変わらなければ分母を減じ、いっそう)OR自体は値を増す.


 このことを喫食率50%に固定し、セル間で1名が移動した例をもって計算してみると、


 症例、対照各セルにわたり喫食率50%と固定するために、
   a=b , c=d
 とする.元のオッズ比:
   OR1 = ac/ac =1 
 となる.


 新たなオッズ比は、セル間で1人づつ移動するのだから、
   OR’ = (a+1)(c+1) /{(a-1)(c-1)}
       ≒  1+2(a+c)/ac 
              * 第3項以降の項は分母a^n*c^n ;n>2 などから
                ごく小さくなるものとして、無視.
 となり、OR1 周りのOR'の増加分は  2/a + 2/c ほどとなっている.

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