欧州食品安全機関がリスク低減の基準としている菌数_6
EFSA;BIOHAZは、campy 対策のために基準*の菌数を設けている.1000または500cfu/g皮膚を区切りとし、達成したときのヒトのリスクがどの程度減るかを計算して発表している.
○ 日本のリスクプロファイルではEFSA, 2014を引用して、「2014年2月~8月に英国の市販鶏肉(皮サンプル)を調査したところ、70%(1415/1995)がカンピロバクター陽性であり、汚染濃度が1000 cfu/gを超えるものは18%(369/1995)であった 」ことを紹介している.
ここでは区分の基準とする値;1000cfu/gのほか、500cfu/gとしたとき、これに応じてヒトの危険が50%,90%減少する:リスクが動くと試算している.
検体の18%が50%のリスクを担っている計算である.
■ EFSAのこの菌数2つのなす区間では、ちょうどリスク傾斜の大きなところであるとわかる.
Δrisk(500-1000cfu/g)= 90-40% = 50%/(cfu/g)
■ 一連の記事のスタンスは、発症菌量付近の具体的な濃度を超えるものがどれほどなのかを論ずることがヒトのriskを計るうえで有効とするものである.
①「国内の資料」:10の1乗/100g =検出限界 ; 陽性率による判断基準
これは多くの国内資料にみられる
②「当ブログ」 :10の2乗/100g
③「EFSAの試算基準」:=10の4-5乗/100g ;10の2-3乗オーダー/g から換算.
判断の基準は、摂食する平均的な量に応じた発症菌量周辺にあるべきと考えるのだが、上のように国内資料において特にかけ離れている.陽性率から試算することは、後2者よりはるかに少ない菌数の基準を採択してしまうことになる.100gあたり15cfu(とか)は定量の菌数の限界であって、そのまま区切りとして使われている値であるが、実例の事故における残品の濃度;gあたり30個と比べて200倍小さい側にあり、違いが大きい.
■ 発症の可能性が問題となる濃度からは、あまりにもかけ離れる.もし陽性陰性を基準として推論を進めれば、実際の危険性とは明らかな偏りを許してしまい、hazardが少ない(危害の少ない)検体までも危険視することになり、対策のポイントがずれてしまうだろうから問題と考える.
危険査定は、摂食菌量ベースでなされるべきだから、定性データはふつう、そのまま使えない.(以前の記事で詳述.)
効果的な対策が過小評価され、極端な対策(hazardのない鳥から、hazardのないモノをつくれ、といった)や実現性の薄い提案が誇張され、あたかも最重要なものと受け取られることが危惧される.定性的なRAは、単純には成立しない.
□ EFSAの試算基準は当ブログが目安としたオーダーと同等ないしやや大きいあたりにある.