morの解析ブログ

解析疫学、リスクにまつわるメモや計算

「推定」のまわりをさぐる.教科書では「解析はMHにより行う、因子が多ければ重回帰を用いる」という風で詳しい例は少ない.独自(のつもり)な思いつきで具体に試行.
 数理を用いるべきアセスメントにも切り込む.

ニュース記事:甲状腺のようすと線量について


「甲状腺がん、線量関連なし 福島医大、震災後4年間の有病率分析」の記事に目に入った.
 疫学調査報告もの.
 4年分に限っているらしいこと、地域比較が偏っていて、コントロールとの比較がないこと(少なくとも記事には)、独立性のある機関ないし者の行った調査といえないことなど疑問が噴出する.
 有意差がないことに拘ると、ある程度強い関連をもつ因子を切り捨てる危険が増す.それを説明する資料は山ほど見つかる.このニュース記事の報告は、まさにこの落とし穴にはまる例といえる.
 地域の区分はいずれも疑わしい因子の同一県内のものであり、この県の異常な発生率に改めて驚かされる.
 この報道にある調査はつまり、心に留め置くべき事柄でない.これが公表され、もたらされる効果について注視したい.

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