morの解析ブログ

解析疫学、リスクにまつわるメモや計算

「推定」のまわりをさぐる.教科書では「解析はMHにより行う、因子が多ければ重回帰を用いる」という風で詳しい例は少ない.独自(のつもり)な思いつきで具体に試行.
 数理を用いるべきアセスメントにも切り込む.

glmと層化:交互作用項の意味と活用 「タモキシフェン」から

◆交互作用項の意味と拡張した使用法について記す
On a meaning of interaction
◆交互作用項の意味
○ glmにおいて、2つの因子A,Bについて交互作用項を設け、モデル推定するとAまたはBのみの効果係数、そしてAかつBにかかる係数(交互作用項)が得られる.Aのみの効果係数からORを計算して、cludeA_ORと比べ、交絡があるかを調べる(「交絡という不思議な現象と交絡を取りのぞく解析」:2011佐藤氏).交互作用項は、因子の評価に欠かせないが、その意味を考える.


glm with interaction term gives coefficients of interaction;Coi


○ 前述文献の解析事例を少し調べると、交互作用項そのものの意味は、ある因子で層別した際の2ORの比のln(係数ベースでの係数差)であるとわかる.
Coi is the log "ratio" of ORs


 [具体的数値の比較]
 文献では、「タモキシフェン」の再発防止効果を調べ、交絡因子「転移」有無で層化している.もっとも相対危険差、相対危険を中心として調整方法、標準化を詳しく解説する資料であるが、glmによる解説部分に、そのORが記されているので、これをなぞれば層化とglmを学ぶのに役立つ.
Sato reported on confound example


 glm(ロジスティック回帰)から示されるOR; : OR from glm coefficients
          タモキシフェンのみの効果;  Tamoxifen OR  : 0.63
                    転移 ;    metastasis OR  :   3.52
                 交互作用項;      interaction :1.4   


である.これから、転移有のタモキシフェン効果は、転移なしの効果;0.63に対して交互作用項分のORが乗じられ0.88となっている.
Tam + metastasis OR 0.88 = Tam OR 0.63 x interactionOR 1.4
 これを係数ベース(lnORベース)に変えれば、交互作用項そのものは、交絡因子のないグループの、ある場合のグループの係数に加わった数(グループ間の係数差)であるとわかる.
 念のため、層化とglmの対比をしておく.


転移有のOR  0.88:① Tam OR metastasis ;add interaction
転移なしのOR 0.63 : ② Tam OR non-metastasis


①タモキシフェンのみの効果×交互作用項OR
②タモキシフェンのみの効果


 転移なしのORに、glmからのORの比 1.4が乗じられているのがわかり、この1.4をlnすると係数ベースの交互作用項の値
   0.371 ・・・《1》
となる. 
 一方、層化した表から計算してみると、
《層化》 OR in stratification,
  転移有層のOR 0.871
   : metastasis str.・・ closely resemble ①    
  転移なし層のOR 0.644
   : non-metastasis str. closely resemble ②
 となって、層化からの転移有なしORは、glmで係数から導出されるORと対応するものと確認できる.
 さらに転移有のORの転移なしのORとの比をとると 1.351 となる. 
     0.871/0.644=1.351 
       ln1.351=0.301 ; confound
これをlnして
  0.301・・・《2》
を得る.これは、glmでの交互作用項《1》に近いものである.違いは他の因子の影響も考えられる.いまのところ、この係数を交絡の大きさを決める数と理解している.


 表からのデータについて一般化すると、交互作用の大きさβは、つぎのようになる. 
  βinteraction=ln(ad/bc)-ln(a'd'/b'c')
          ;ln :Natural logarithm


まとめ conclusion
□ glmでは、交互作用項はあたかも因子の係数のように導出されるが、それは、因子係数の”差”であった.
  counfound value = ratio of ORs
□ 交互作用項投入では、2因子それぞれの暴露なしリスク値を得るが、層化解析の結果と対応している. interaction term & non-interaction coefficients are corresponding risk value from stratification
◆ 拡張した使用法
 かつて、MH法をシート化した際、事例を概観するため全因子総当たりとした.
 glm交互作用項も全因子総当たりで表してみると、都合がよい.予め、狙った因子を検討するというより、どれがどのように関係しているかがわかるからだ.
◆ とくに交互作用項は、修飾効果を切り出す.
 observation interaction term often reveals modification

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