余興 固有値の疫学的試用:シュークリーム事例
■ この記事で試すリスク推定値は固有値である.
固有値の小さい方(以下、単に固有値という)をリスクと対応させることができることを例題データを使って示す.
従来の解析方法による結果と比較する.
■ 固有値の、影響度判定力の検討
・シュークリーム、カフェラテの例題で交絡と固有値の関係をみる.
粗表
シュー カフェラテ
OR 6 3.93
固有値 20 16
* 素朴に、層別しないテーブルで、各因子の粗ORを計算すると、上のようである.
cOR・固有値とも一致してシューにおいて大きい.
固有値の小さい方でもって因子を比較すると、大きい方がriskyとなる.
*食中毒においては、本来の交絡は発生しがたく、もしあればそれも
生起因子であるし、普段おこるみかけは曝露によるゆがみである.
・ 層化解析において固有値は、それらしい結果となるか.
例題解説に準じ、2因子による層化を行う.
カフェありシュー カフェなしシュー
OR 6 6
固有値 2.5 3.2
シューあり層 シューなし
カフェ曝露 カフェ曝露
OR 1.0 1.0
固有値 0 0
カフェラテあり無しで層化すると、ORはいずれも6だが、固有値は異なり、カフェラテなしのシューにおいて大きい値を示した.このことは、例題で正解とされるシューのriskyさを正しく示す.
また、シューあり無しで層化するとOR、固有値とも層ごとに違いがみられず、カフェラテの危険がないことが確認できる.
■ この例題では、シューが生起因子、ラテが”交絡”因子とされる.今回、粗表、また層化において、いずれも一致して明瞭にriskyな因子を反映した.
■ 固有値を表す式には、今回定義したdetに相当する式が含まれるが、曝露群と対照群の生起オッズの違いを表し、因子の影響が方向性を失わず反映される.
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この例題でいう、”交絡”は、疫学的な定義による交絡と異なる.みかけをつくる暴露効果と解釈する.